この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
ルカス・クラーナハ(父 1472-1553年)は、いまから500年前のドイツを生きた画家です。16世紀前半のドイツ、それは変革につぐ変革、激動につぐ激動の只中にありました。その時代の揺れ動きを誰よりも敏感に察知し、また誰よりも鮮やかに体現した芸術家、それがクラーナハです。
ザクセン選帝侯に見出され、ドイツのヴィッテンベルクで宮廷画家として活動したクラーナハは、先行してイタリアで勃興していたルネサンス芸術を、そこから離れたドイツの地に移植して新たに変容させた、数少ない芸術家のひとりでした。
彼はまた、マルティン・ルターに始まる宗教改革に、ほかのどの画家よりも深く関わった人物です。ルターと親しい間柄にあったクラーナハは、絵画や版画という視覚メディアによってプロテスタントの思想を世間に伝達し、改革運動に加担したのです。さらにこの画家は、時代に先駆けて大型の絵画工房を構え、息子のルカス・クラーナハ(子)らとともに、作品の大量生産をおこないました。クラーナハには、新時代のマーケットの需要に応える一種のビジネス感覚さえ備わっていたのです。
しかしながら、そんなクラーナハの名を、後世のわたしたちに何よりも忘れがたいものにしているのは、彼が生んだ「誘惑するイメージ」の数々でしょう。ヴィーナスやルクレティア、ユディットやサロメといった物語上の女性たちを、特異なエロティシズムとともに描出した一群の絵画のことです。宗教改革期という禁欲の時代にありながら、クラーナハは愛欲をめぐる神話の女神たちの裸体や、悲劇性や残虐性をもったヒロインの恍惚たる身体を、淫らにして軽妙な、艶っぽくも醒めた、独特のイメージでくりかえし描きました。それらはイタリア・ルネサンスの理想化された身体表現の規範を逸脱し、見る者の欲望をきわどく刺激します。
そう、クラーナハの絵画が問うのは、それを見つめるわたしたち自身の欲望にほかなりません。彼の作品が、退屈な伝統には満足しない近代以後の前衛アーティストたちを惹きつけてきたのも、それゆえ偶然ではないでしょう。とくに表現主義やシュルレアリスム以降の芸術家──エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナーやパブロ・ピカソ、森村泰昌やジョン・カリンらは、クラーナハの絵画に触発され、それを自身の作品をつうじて近現代に甦らせてきました。この画家の芸術は、500年の時間を超え、いまなお生きつづけているのです。
日本初のクラーナハ展となる本展では、そのような画家が生んだ作品群を、同時代の社会や政治の状況などと照らし合わせながら読み解き、さらには彼の死後、今日までの影響も辿ります。折しも宗教改革の始まりからちょうど500年後の2016-2017年に日本初の「クラーナハ展」が開催となります。
開催概要EVENT DETAILS
| 会期 | 2016年10月15日(土)〜2017年1月15日(日) |
|---|---|
| 会場 |
国立西洋美術館
|
| 住所 | 東京都台東区上野公園7番7号 |
| 時間 |
9:30〜17:30
(最終入場時間 17:00)
|
| 休館日 |
月曜日 ※ただし、2017年1月2日(月)は開館 年末年始(2016年12月28日(水)~2017年1月1日(日)) その他、臨時に開館・休館することがあります 詳細はこちらから ・開館時間・休館日の最新情報については、国立西洋美術館のトップページをご確認ください。 |
| 観覧料 | 【当日】 一般1,600円 大学生1,200円 高校生800円 【前売/団体】 一般1,400円 大学生1,000円 高校生600円
|
| TEL | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
| URL | http://www.tbs.co.jp/vienna2016/ |
国立西洋美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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